まだ現役。

広告業界で働くITエンジニアなおっさん、未だにラノベを読む。ラノベ以外も読むし、時にはゲームやアニメの話もする。

『デート・ア・ライブ15 六喰ファミリー』読んだ

こんにちは、おっさんです。

前記事で、どっちを次にレビューしようか、と書いたわけですが、正解は「精霊の方」でした。 正解者の方、おめでとうございます。商品は特にありません。

cant-stop-c2.hatenablog.com

ということで、本日は『デート・ア・ライブ15 六喰ファミリー』のレビューでございます。

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とりあえず表紙ちょっと待て

まあね、内容に触れる前にこれ突っ込んでおかないといけないわけです。

デビュー作蒼穹のカルマで盛大に「表紙詐欺」と呼ばれた作者なわけで、それにしてはこのシリーズはおとなしいな、と思っていたわけですが、ここに来てこれ。 情報公開と同時に本スレがすげー沸いてました。まとめサイトとかじゃないからリンクも引用もしないけどね。鍛え上げられた歴戦の猛者たちが動揺する様子はなかなか壮観。

ともあれ、メイド喫茶でよくある「例のポーズ」をとる反転十香が表紙の時点で、もう内容の想像がつきません。どうしてこうなるんだ……から本作を読み進めることになったわけです。

再び、宇宙へ

前作(デート・ア・ライブ (14) 六喰プラネット (ファンタジア文庫))にて登場した新しい精霊、六喰。彼女は自らの能力で心(とおそらく記憶)をとざしたまま、成層圏にて一人でひっそりと過ごしている精霊でした。 その能力は強力。任意の事象や概念のようなものまでもを自由にオン・オフ出来るというものの様子。

士道は彼女の説得と封印を試みるため、仲間の協力を得て宇宙に向かいますが、自らの能力で心を閉ざしてしまった六喰に拒絶されてしまいました。その後アイクによって作り出された世界で、「超格好いい自分」に説得される形で再び六喰の元に向かうことを決断した、という状況を受けてのこの巻。

当然、六喰には再び拒絶されるわけですが、その場にDEMも乱入。三方入り乱れるなか、七罪の天使「贋造魔女」で六喰の天使「封解主」を複製するという方法で六喰の心の「鍵」を「開」けることに成功する士道。

それをきっかけに心が繋がったのか、二人はお互いの幼いころのことを夢で共有する、という幻想体験をした様子。 これで六喰がどう変わるのか、が本巻のメインプロットになります。

DEM襲撃

一方そのころ(というか時系列的には士道が再び宇宙に向かう前。詳しくは前巻参照)、ラタトスクの根拠地を襲撃するDEMとアルテミシア、そしてエレン・メイザース乗艦「ゲーティア」。

“改編前の世界”のフィードバックを受けてパワーアップしたフラクシナスEXを短期的には圧倒するんですから、やっぱりエレンすごい。ま、精霊のパワーを借りる新システムでそれもどうにか撃退成功。根拠地が敵に判明したため体制の立て直しを強いられるラタトスクですが、どうにか危機を脱することが出来ました。

このシーンの見どころはやはりアルテミシアと折紙の対峙でしょう。

フラクシナスEXとならぶラタトスクの切り札といえる新型CRユニット「ブリュンヒルデ」を装備しアルテミシアに対抗する折紙。しかし、そもそもの霊力差はいかんともし難い、と思われたところでCRユニット装備のまま霊装を発現させる折紙。CRユニットと精霊の力の融合という熱い新フォーム。

このシーン、挿絵と合わせてめっちゃ格好いいっす。

六喰の変貌

さて、心の鍵が開いた六喰はどうなったのかというと、士道に依存するメンヘラちゃんになりました。 大げさではありますが、嘘ではなくマジで。

士道を「主様」と呼び、「むくが好きならば他の女などいらないじゃろ?」と迫ってくるわけで、これは怖い。 この依存の原因について“六喰の感情は戻ったけど、記憶が戻っていないからではないか”と類推した士道は再び「贋造魔女」で「封解主」を複製しようとしますが、なんとこんどは士道の「贋造魔女」が逆に封じられる、という展開に。

これを見る限り、士道の模造天使と精霊の天使のパワーは大体一緒なんですかね?ちょっと疑問。

士道としてもこれで諦めるわけにもいかず、説得を試みるわけですが、メンヘラ六喰ちゃんは思うわけです。

“他の女の子が士道を覚えてなければいいんじゃないか”、と。

というわけで、ある日士道が目を覚ますと家族であるはずの琴里をふくめ、すべての精霊たち、友人たちが彼を忘れてしまう、という事態になってしまいました。

士道を覚えていた2人

この「精霊の記憶封印」事件を受けて発生した事象は2つ。

  1. 折紙の主人格が封じられたこととで「この世界の折紙」、通称折髪さん再登場
  2. 十香が(士道を失ったストレスで?)反転

折髪さん再登場は正直嬉しかった。 人格が統合されてどちらも折紙みたいな説明されつつ、どうしても改変前の世界の性格というかキャラクターしか最近出てなかったからなぁ。記憶封印されても折髪さんは覚えていたわけですが、ってことはやっぱりこの2人、統合とかじゃなくて折紙が制圧してた感じなのかも。

さらにはまたしても反転十香登場です。この人も士道を覚えてる。 「なんで十香さんすぐ反転してしまうん?」くらいに反転しやすくなってる気が。 まあそれはともかく、反転十香ですが、以前苦渋をなめさせられたから、という理由で士道を狙ってくることに。当然、士道べったりの六喰は反発しあわや激突、というところで折髪さんがどうにか割って入って仲裁というか、勝負の方向性を誘導することに成功。

まあその方法が士道の唇を奪ったほうが勝ち、というのですから、穏やかに収まるはずはないですね。 みんな連れ立って買い物してみたり、なぜかメイド喫茶で「あーん」争いをしてみたり(表紙これかよ!?)、とにかく士道モゲロ。

集団デートは最終的には天宮タワーへと場所を移すことになります。

折髪さんVS反転十香VS六喰

まあこんな綱渡りみたいな関係性が続くわけもなく、反転十香が六喰の前髪を僅かに切り落としてしまったことがきっかけで、決定的に壊れます。

後ほど明らかになるのですが、実は六喰は人間であったころには姉べったりの少女でした。髪も姉がずっと結ったりしていたようで、記憶を失っていても髪をいじる、切るという行為だけはだれにもさせなかったのです。 メンヘラモードのときですら、士道に切らせなかったくらいの髪を切られてしまったわけです。

これで激怒した六喰は真の力を解放、というかいわゆるフォームチェンジを遂げます。毎度恒例見開きイラストはここ。スタイルやばいっす。 ついには全面的に激突した反転十香と六喰に、どうにか場を収めたい折髪さんがCRユニット+霊装モードで参戦し大乱戦。

そして、ついには絶望した六喰が地球自体を閉じる、という致命的な行為に。宇宙で士道と2人でいればいい、という重すぎる選択をしたわけです。

六喰が記憶を閉じていた原因となった事件。それはべったりだった姉が、友人を連れてきたこと。そしてそれを「姉が自分より友人を優先した」と勘違いしてしまったこと。さらにはそのタイミングで精霊としての力を得たため、家族の記憶を全部封印すれば自分に皆の愛が向く、と思い込んで実行してしまったことでした。 もちろんそんなうまくいく訳はなく、家族はみな、六喰を化物として遠ざけることになってしまったのです。家族の愛を勘違いしたかわいそうな少女は、自ら心を閉ざし宇宙に引きこもる精霊となってしまったのでした。

結局、六喰が勝負の最中にあやまって士道を傷つけてしまい、それに動揺したすきをつく形で士道が「俺が家族になってやる」と口説き落として封印。

さらにはその顛末に興を削がれた、と反転十香も自分から士道にキスをして戻ったわけです。好感度が足りないと封印できないはずなので、反転十香も士道に超好感度をもってるってことになるんですかね、これ。

ちなみに、この戦闘前後に他ならぬ反転十香の口から明かされるのですが、どうやら反転体と呼んでいる状態が精霊の本来の姿らしいです。そのままだと負担が大きすぎるので、通常の精霊の状態にした、と。この期に及んで新しい謎が出てくるのか……

ラストをかざるあの人

とりあえず2人の封印でいつもの状態をとりもどした士道たち。六喰も“精霊マンション”に落ち着くことになって、平時の登校モード……のはずだったのですが、教室にいたのは最悪の精霊、狂三でした。

「復学することにしましたの」ってアンタ……

とりあえず次巻以降、一気に物語が進む予感。

まとめ

色々と設定の細かい所に突っ込みたいところはありましたが、概ね楽しめた一冊でしたね。 新しい謎、そして久しぶりの狂三ちゃんの本編登場で次も楽しみです。

デート・ア・ライブ15 六喰ファミリー (ファンタジア文庫)