『狼と香辛料XVIII Spring Log』 読んだ
こんにちは、おっさんです。
いよいよ新刊だけを取り上げていくのをあきらめました。
本日取り上げるのは『狼と香辛料XVIII Spring Log』になります。 2記事続けて狼と香辛料とはどういうことなのか、俺。
http://dengekibunko.jp/books/1609spicywolf18/book_img/pc_1_.jpg
まーね、オオカミ耳とか強気少女とか弱いからね、仕方ないね。
幸せな生活をもう少し続けてもいい
本作は『狼と香辛料』シリーズの純粋な続編になります。 シリーズ本編は完結しているのですが、その最終巻でニョッヒラに隠し湯を発見し、湯屋をかまえ安住の地を得た商人ロレンスと、ヨイツの賢狼ホロの二人。
あれから十数年後、まだまだ続いている二人の幸せでちょっと波乱がある生活の中編集となります。
おさめられているのは三本の中編と一本の短編になります。 ひとつづつ見ていきましょう。
旅の余白
まさかのホロの葬式シーンからの導入で冒頭からちょっとぶったまげた作品。
いや、そんなわけはないだろう、と思いつつも、読み進めていくと、どうやらニョッヒラのそばに別の温泉郷が作られる計画があるという噂。 そうなれば資材も顧客も奪い合いが間違いないので、対抗するために一風変わった祭りはできないか、という話でした。
いろいろあって出てきたアイディアがこの生前葬だったというわけですね。よかった、わっち生きてた。
アイディアのもとは臨終の告解といって、自分の死の間際に神父様に告解を行い、罪の許しを得てからあの世へと旅立つという儀式なわけですが、これをちょっとアレンジして、生前葬を行い、死ぬ間際まで言えなかったこと、いうのが恥ずかしいことをいう、そういう羞恥プレイ祭りにして町おこしをしよう、という話ですね。
続編の再開がまさかの葬儀でどうすんの?と思った身としては、実に食いつかされる餌だったと思います。
黄金色の記憶
かつてニョッヒラを訪れたことのある男が、当時の記憶を頼りにお酒に使っていた水を探すお話。
まあなんでそんなことになったのか、そして最終的にどこに帰着したのかは読んでいただいたほうがいいとして、ロレンスが商人から湯屋の主人になったんだなぁ、っと思った一遍。
帰りには笑顔になっていただくのが信条、なんて商人ロレンスとしては絶対に言わないセリフだと思います。
狼と泥まみれの送り狼
さて、前の話が湯屋の主人ロレンスの話だとしたら、こちらは15年ぶりに商人らしいロレンスが出てきた話といえるかもしれません。
冬の間にニョッヒラに落ちた貨幣をスヴェルネルに届けに行くついでに、本作通しで語られている別の温泉郷の情報を収集しつつ、またスヴェルネルの聖人の祭りに参加するロレンス。 スヴェルネルとニョッヒラの経済的な関係性が見て取れるお話です。
その一連の出来事の最中に登場する、南の傭兵の一団。山から掘り出された鉛。 そして鉛は銀を含有することが多いので、大慌てに動き出す街の衆と大商会。 事態の収拾に乗り出す一人の元商人と彼に寄り添う大きな狼の影。
ああ、懐かしいなぁ。 狼と香辛料ってこういう雰囲気だったよね、と再確認しました。
羊皮紙と悪戯書き
トリをかざるのはコロとミューリの短編、というか掌編に近いかもしれない。
もう一つの物語で旅に出た二人の、その旅立ちの直前くらいだと思われる一日の話。 彼らが湯屋でどのように過ごしていたのかを知ることが得きる貴重な話。
おわりに
『マグダラで眠れ』や『新説 狼と香辛料』にもテイストはあったように感じていたんですが、こうして同時期に並べて読んでみるとやっぱり違うんですね。 ロレンスとホロには独特の空気がある気がします。
久しぶりの狼と香辛料、めいいっぱい楽しんだ、って感じです。
次の記事では今一番アニメ化を期待している某将棋作品を取り上げる予定です。 お楽しみに。
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