『新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙』読んだ
こんにちは、おっさんです。
何かと忙しい昨今、それでも読書の手は休めません。 休憩時間や通勤時間を利用してせっせと読んでは、ブログに書いていきます。
だってそうしないと、毎月新刊出るんだもん。 ということで本日取り上げるのはその今月の新刊『新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙』になります。
http://dengekibunko.jp/books/1609new-spicywolf/book_img/pc_1_.jpg
もう一度始まる、狼の化身と若い旅人の物語
さて、本作ですが新説と銘打ってはいますが、完結済みの前作『狼と香辛料』と世界観を同じくしています。 まあ主人公を変えた続編と言っていいかと思います。
主人公は前作の後半に登場した聖職者を目指す青年(前作登場時は少年でしたが、あれから相当時間がたっている様子)コロ。前作でもその聡明さは光っていましたが、今作でも神の教えをしっかりと学んで、「神の書」も読みこなすことの出来る学徒として描かれています。 その一方、ちょっとすれていた流浪の期間から時間がたったためか、いささか世間ずれしている様子も。実にらしいといえばらしい成長を遂げていますね。
そしてヒロインは前作の主人公とヒロインの娘ミュール。もちろん狼の化身ホロの娘ですので半神半人、狼耳とシッポのあるヒロインです。ケモミミは正義。
前作『狼と香辛料』について
前作については今更説明不要かと思うのですが、簡単にご紹介します。
旅の青年行商人クラフト・ロレンスは、商取引のために訪れたパスロエ村を後にした夜、荷馬車の覆いの下に眠る1人の密行者を見付ける。それは「ヨイツの賢狼」ホロと名乗る、狼の耳と尻尾を持つ少女であった。 ホロは遙か北の故郷「ヨイツ」を離れての放浪の中、パスロエ村の麦に宿った狼であった。ホロは神と呼ばれ、長年村の麦の豊作に尽くしていたが、農業技術の進歩によってないがしろにされるのを感じ、望郷の念を募らせていた。そしてついに収穫祭の日、通りかかった荷馬車の麦束に乗り移って村を脱出したのであった。 少女が狼の化身であることを知ったロレンスは、彼女を旅の道連れとした。2人は行商の途中、様々な騒動に巻き込まれながら、ホロの故郷を目指して旅をすることになる。
wikipediaからストーリーを引用。 若き商人と、人ならざる賢狼が中世風の世界を旅しつつ、故郷を目指すファンタジー作品となります。
特徴的なのはその経済描写。
主人公が商人ということもあって、中世ヨーロッパ世界観における貨幣の価値、領主や商会が担っていた経済的な役割などを詳しく解説しつつ、その分野ならではのトラブルや障害、そしてクリアするための経済的気転に光るものがあり大人気となったシリーズになります。
ホロ、好きだなぁ。
なんというか、人を超えているが故の達観や諦観と、人ではないからこその弱みが組み合わさった絶妙なヒロインだったとも思います。
個人的には『3×3EYES』の三只眼吽迦羅(パイの主人格)なんかと近しいものを感じるのですが、そういえば三只眼吽迦羅も好きだった。 どうもこういうタイプみたいに弱いみたいです、俺。
若い二人の繰り広げる冒険の話
さて、旧作の主人公二人は経済的な冒険をすることが多かったわけですが、さすがにコルが若き神学の徒ということで、中世宗教事情に関する冒険をすることになります。
現実の世界でいうとルターから始まる宗教改革に当たるエピソードでしょうか。
前作でも訪れたウィンフィール王国が教皇と対立しており、聖務(宗教的な式典や儀式)が行われていない状態。したがって、そこで暮らす人々も結婚の祝福や洗礼すら受けられず困っているため、王国はこのまま現教会と決別、「自分たちの神の書」を作る、というのが作品世界の大きな流れのようです。
その中でコルとミューリは王国側の貴族ハイランドに協力し、神の書の訳本作りや北の地での改革の橋頭保づくりに奔走することになる、というのが本巻の大筋なストーリー。
ウィンフィールは島国なのでイギリス国教会みたいな立ち位置を獲得するのが目標なのでしょうか。 でも国教会ってプロテスタントじゃなく、あくまでカトリックの一派なんだけど、そのへんはフィクションでいろいろと混ぜていく感じになりそうですね。
あ、ミューリはちゃんとオオカミになります、それ大事!
まとめ
とにかく旧作が好きなシリーズだったので、もう一度あのゆっくりと流れる時間の中で、でも必死に生きている人たちの冒険が見れると思うと楽しみでたまりません。
今後の続刊に期待、です。
- 作者: 支倉凍砂,文倉十
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2016/09/10
- メディア: 文庫
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