『かみさまドクター -怪医イサナさんの症例報告-』読んだ
こんにちは、おっさんです。
まだまだ続き物じゃないのでいくよ。 でも多分そろそろ残弾尽きるよ。
さて、今回は『かみさまドクター -怪医イサナさんの症例報告-』です。
http://dengekibunko.jp/books/1608kamidoc/book_img/pc_1_.jpg
怪異相手の職業モノはワンチャンある?
怪異に限らず、異世界とかでもそうなのですが、常識とかが通じない相手、世界での専門職モノってまだ掘り起こされてない鉱脈が結構あるんじゃないのか、と思っています。
最近ではダンジョンやら異世界やらで料理するのが流行っているようですが、考えてみれば料理も専門職スキルなわけです。
正しく考証さえされていれば。
どう考えても小麦が育たない環境で小麦粉とか砂糖の精製がどれだけ大変かをを軽視してスイーツとかね。
そうじゃなく、スキルに必然性と説得力があれば、まだネタはいくらでもありそう、と思います。
本書は医療なわけで、そういう意味では、うまいニッチをついてきたなあ、って感じです。
他をバカにするタイプじゃないのは好感
で、そうした職業モノとかでありがちな、回りが酷いから主人公が相対的によく見える、ってパターンでなかったのは素直にうれしい。
ああいうのって、正直読んでてだれるんですよね。どれとは言わないけどさ。 絶妙な高さのハードルとその越え方を提示できないならプロットから考え直せばいいのに。
本書は医療なわけで、そういう心配は無用なのがありがたい。医療って、半端には書きづらいですから、その点ではネタ選定の時点でふるいがかけられていると言えるでしょう。 また、本書の主人公は研修医ということで、スキル的には上位者がいる設定なのもそういう点ではいいですね。
折に触れて出てくる医療用語なんかもそうした世界を描くのに一役買っています。 僕はもちろん医療従事者ではないので、本当に全ての用語が正しく使われているかは分かりませんが、少なくとも目につく粗がない、というのは素敵です。
オチは読めてたけど
ま、オチというか主人公やらなんやらの正体なんかは隠す気がないレベルにバレバレだったわけですが、そこがポイントになるミステリとかではないので全然OKです。
これでもしそんなバレバレなものを「実は○○でした(ババーン」みたいに書かれたらちょっと引いてたと思うんですが、そして多分作品の票かに決定的なマイナスになってたと思うんですが、そんなこともなく、さらっと。 むしろ患者さんの正体はなんでしょう、という連作風に仕立ててきたところが良い。 主人公が職業持ちということで、一般のラノベと比較して年齢がたかく、そこがネックになる作品も多いと聞いているので、是非今後とも頑張って欲しい一作です。
かみさまドクター ―怪医イサナさんの症例報告―<かみさまドクター> (電撃文庫)
- 作者: 西塔鼎
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
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